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2009'01.06 (Tue)

NHKにようこそ

新年早々、ちょっと買うのをためらう表紙の本を読んでみた。



出版社 / 著者からの内容紹介
ひきこもりの大ベテラン佐藤は気づいてしまった。人々をひきこもりの道へと誘惑する巨大組織の陰謀を!――といってどうすることもなく過ごす佐藤の前に現れた美少女・岬。彼女は天使なのか、それとも……。

この本に出てくるNHK=日本ひきこもり協会。

日本放送協会(NHK)に勤めてる友人にこの本のことを教えてもらいました。

ヒロイン「岬ちゃん」のプロジェクトの目的が明らかになるところが泣けます。


アマゾンの読者レビューを見ると、「内容が薄い」といった批判を散見しますが、いいじゃないですか。薄っぺらくて。

この表紙で、社会問題の深層を掘り下げてたら逆にびっくりです。

この本は、娯楽として読む本です。娯楽は薄いのに限ります。


ひきこもりに通じる深遠な文学に触れたい人は『罪と罰(ドストエフスキー)』を読めばよいのです。

私は『罪と罰』も大好きです。


次回は『ゲバラ日記』の予定。
23:36  |  読書記録(一般)  |  TB(0)  |  CM(23)  |  EDIT  |  Top↑

2008'10.26 (Sun)

沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)

沈まぬ太陽最終巻。
果たしてどんな結末か?



【あらすじ】

一向に進まぬ日航改革。

2度目の召集令状を受け取ったとの覚悟のもと、無私を貫き日本航空の建て直しに尽力する国見であったが、政界の意向により、汚名を着せられ更迭される。

三顧の礼でかつて国見に会長就任を依頼した総理も、自らの利権確保の駒として国見を利用しようとしたに過ぎなかった。

志半ばにして、失意のうちに日航を去ることとなった国見会長。恩地も会長に同道したいと申し出るが、国見に留意され、あえて茨の道となる残留を選ぶ。


【感想】

4巻あたりから、この小説が『勧善懲悪』で終わるのか、それとも『正義が敗れる不条理』で終わるのかが気になっていた。

山崎さんの小説(白い巨塔など)は、社会の実像をモデルにしているためか、だいたい良い終わり方をしない。

果たして読み終わってみると…



かなり悲惨な終わり方に分類できると思う。

最も悪いやつら=一部の政治家・官僚・マスコミ は、まったく叩かれる気配もなく小説は終わる。

爽快感を求める人にはオススメできない。



それでも、この小説に描かれた多くの日航社員の人たちが、腐った組織のなかにあっても公共交通機関の使命を果たそうと粉骨砕身働いている姿は、感動的だ。

この本を読むと、「こんな酷い会社だなんて知らなかった。もうJALには乗りたくない」と思う人がきっといると思うが、「こんな熱心な人たちが働いている会社だなんてしらなかった。JALが好きになった」という人もいると思う。

前者の方が多数派だとは思いますが、私はJALという航空会社が少し好きになりました。

13:41  |  山崎豊子さんの小説  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2008'10.24 (Fri)

沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)

沈まぬ太陽のさらに続き。
ついに主人公の志を支える正義の会長が登場します。



【あらすじ】

ジャンボ機墜落事故で信用が地に落ちた日本航空を立て直すとの首相官邸の意向を受けて、新会長『国見』が迎えられる。

国見は、健全な労使関係を築くことで安全第一の航空会社の使命を果たすための第一歩としたいと考えるが、社内の労働組合は、これまでの経営陣の策略によって多数に分断し、互いに憎しみを抱くまでに悪化しており、労使協調への道は果てしなく険しかった。

恩地も、国見会長就任とともに新たに設置された『会長室』のメンバーとなるが、社内風土の改善は一向に進まない。

社内や関連企業には、依然として利権をむさぼる魑魅魍魎が跋扈している。事故を起こした日航者委員として、純朴な多くの従業員が遺族・被害者への罪の意識に苦しみつづける一方で、権益にしがみつく者たちには、当事者であるにもかかわらず贖罪の意識のかけらもない。


【この巻の感想】

ようやく、権力を持った正義の味方「国見会長」が登場し、これでハッピーエンドに向かって動き出すかと思いきや、私利私欲にうごめく者たちの力は依然強い。

誰の言葉か忘れたけど、『反省会の法則』というものがある。

「反省する必要のない者が反省し、反省すべきものは反省しない。これが小学校以来の反省会の法則」

というものだが、まさにかつての日航社内で、反省会の法則が成り立っていたことが読み取れる。
13:12  |  山崎豊子さんの小説  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2008'10.22 (Wed)

沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)

沈まぬ太陽、続きです。
恩地さんが日本に帰ってきました。




【あらすじ】

10年に及ぶ海外勤務をついに終えて日本に帰ってきた恩地。だが安息の日は訪れない。

昭和57年、日航ジャンボ機墜落事故。墜落現場は酸鼻を極め、残された遺族の悲しみ、苦しみもまた、凄惨なものであった。

恩地は、この事故の遺族係となることを命じられる。


【この巻の感想】

ここまで、組織対個人として描かれてきたこの小説の流れのなかで、この巻だけは日航ジャンボ機墜落事故の描写に重点が置かれていて、また一部遺族は実名で登場しており、異質な印象を受ける。

とはいえ、この事故についての詳細な記述を読んだのは初めてだったので、衝撃的だった。520人が亡くなった、という数字だけからは伝わってこない当事者の痛みに、読むのがつらくなってきた。
11:46  |  山崎豊子さんの小説  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2008'10.20 (Mon)

沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)

沈まぬ太陽の続きです。




【あらすじ(ハイライト)】

海外僻地勤務は2年という内規があるにもかかわらず、カラチからテヘラン、さらには営業所すら存在しなかったナイロビへとたらいまわしにされた恩地。家族は引き裂かれ、恩地の帰国を心待ちにした母親の死に目に会うことすらかなわなかった。

恩地は、抑圧された中にあっても自らに与えられた仕事に全力で取り組み、東アフリカにおける日本航空の販売拡大に尽力するが、日航機は世界各地で事故を頻発し、日本航空への信頼は薄れて行く。

日本に一時帰国することがかなった恩地は、彼が海外左遷されたときの社長であった桧山を病院へ見舞う。恩地に対する報復人事に本心では反対していた桧山は、「2年だけ我慢してくれ」と恩地に言ったが、その約束は果たされていなかった。

死の床についた桧山と対面する恩地。だが、「約束を守って欲しい。日本へ戻して欲しい」との言葉をかけることはできなかった。黙って涙を浮かべた桧山の目が「すまない」と許しを乞うていた。

一方日本航空社内では、恩地の活動で力をつけた組合活動を封じるべく、経営者の意のままに動く新生労組が誕生し、旧労組の組合員の多くは、脅迫交じりの勧誘によって新生労組に移籍していった。


【感想】

あまりにも酷い主人公恩地への仕打ちは、読んでいるだけでも怒りがフツフツとわいてくる。

とはいえ、「経営陣=悪」「大多数の労働者=善」という図式が際立っていた1巻に対して、2巻では「経営陣が悪として振舞わざるを得ない背景」も一部に現れている。桧山社長との面会の場面に、それが象徴されている。

経営陣のトップである(あった)はずの桧山社長の、声にできない謝罪が悲しい。

とはいえ、巻末では一時的であれ恩地たちの信念が通じる気配を見せて終了するので良い感じです。
11:02  |  山崎豊子さんの小説  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
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